法定相続情報一覧図の保管申出
2024/02/17
«««家族が亡くなった。あわただしい中、葬儀は実施した。市役所(町役場)に行って死亡の届出をした。加入していた公的医療保険から3万円程度の葬祭費が給付されるので、請求をした。行政機関から、その場でいろいろと説明を受けた。»»»
最も身近にいた遺族が、相続の手続きに入る前にたどる典型的な行動の流れ。
そして通常の生活に戻り、少しずつ遺品の整理や、生前の交友からの挨拶を受けたりする。そうした中で、遺産(相続財産)の管理、そのために他の相続人と交渉を図る必要性を、意識せざるをえなくなります。
①遺産が債務超過になっている場合。
3か月以内に家庭裁判所に行き、相続放棄の申述をする。
②遺言書に特定の財産を贈与すると記載されている場合。
家庭裁判所で検認を受けた後、財産引き渡しを受けるための手続きをする。
以上は、他の相続人との合意がなくても、一人で完結できる手続きです。
しかしながら大部分の場合は、一人の意思のみで遺産の承継が可能にはなりません。
銀行にお願いしても、「相続人は他にも存在しないのか」「他の相続人との間で、持ち分の合意ができているのか」と証明を厳しく求められ、預金の引き出しを認めてくれません。
このような局面に至った時、実施しなければならないのが、遺産分割協議です。他の相続人全員と連絡しあい、合意文書を作成しなければなりません。そして遺産分割協議を開催するために準備しておかなければならないのが、<相続人全員の事実証明>と<相続財産の事実証明>です。
前置きが長くなりました。今回の本題は、<相続人全員の事実証明>をするための行政手続きを説明するものです。
〈法定相続情報一覧図の保管〉〈法定相続情報一覧図の交付〉とは、亡くなった方の相続人は誰なのかを証明する情報を相続人が自ら作成し、法務局に認証を求め、その後5年間の保管と交付を、申出する手続きです。
法定相続情報一覧図とは、被相続人の氏名·本籍、法定相続人全員の氏名·続柄などを図示したものです。
これを法定相続人のうちのどなたかが作成し、法務局に提出します。
法務局は、この申出を受理すると無料で保管し、申出人の求めに応じ無料で、認証文入りの法定相続情報一覧図を交付してくれます。
この法定相続情報一覧図を提出する際には、法定相続人全員がもれなく記載されていることを証明するため、全員分の戸籍記録と現在住所記録を添付しなければなりません。
この記録を収集するために、市町村の窓口に奔走しなければなりません。郵送による請求も可能になっています。ただし、兄弟姉妹分の戸籍記録取得はできないので、本人を動かさなければなりません。
交付された法定相続情報一覧図は、その後、不動産の権利登記、金融機関の凍結解除など、相続手続きの際に証明書類として利用することができます。
〈法定相続情報一覧図の作成〉〈法定相続情報一覧図の保管申出〉〈法定相続情報一覧図の交付申出〉は、いずれも、行政書士が申出人を代理して行うことができます。
当事務所は、道内の自治体である限り、自治体の窓口に出向いて戸籍記録·住所記録の収集を受任いたします。道外に郵送申請する必要がある場合にも、その手続きについてお教えいたします。